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10月5日:米国のトランプ政権は世界中で暴れ回っている。世界覇権を握るアメリカ帝国主義の圧倒的な力と影響力は滑り落ちつつあり、アメリカ帝国は盟主の座を維持するため必死に格闘している。故に、この帝国が過去数十年に亘り略奪に満ちた支配を包み隠してきた「人権」と「平和」という覆いをはがしつつある。今や、自身の立場を強化するため、アメリカ帝国主義は、過去20-30年の間に驚異的な経済発展を遂げてきた中華人民共和国との対決に向け組織しなければならない。だからトランプは、メキシコのような新植民地諸国や南朝鮮のような従属国を徹底的に締め上げているのだ。また、米帝国主義のドイツや日本といった従属的な地位にある帝国主義同盟諸国も大きな圧力下にある。これこそ、米国が日本に課した、産業にひどく打撃を与える関税の背後にあるものであり、さらなる軍事支出の要求、台湾をめぐる中国との起こり得る戦争に向けた日本の軍備増強の背景にあるものである。
7月の参議院選挙と脆弱な石破政権の崩壊は、日本の現支配体制の危機をはっきりと示している。ソ連崩壊後の過去30年に亘るグローバリゼーションと米国支配のリベラルな「自由貿易」は、日本の資本家たちにとってもうけの多い有利な仕組みであった。国内では、労働者がデフレ、賃金低下、大規模な非正規化に晒された。一方で、資本家たちは、増々アジアへ投資し、生産拠点を中国や東南アジア諸国に移転した。それは産業空洞化をもたらした。これは日本の支配階級に莫大な利益をもたらし、一方では軍事費をGDPの約1%の最小限に抑え、主要な戦争への関与を回避した。
しかし、こうしたことは今や完全に過去のものとなった。世界の疑いようのない盟主である米国がこの世界秩序を引き裂きつつある以上、日本の資本家たちはこれまで通りのやり方を続けられない。米国支配の世界秩序への完全な統合と自らの弱さを考えれば、日本の支配者は、自身の立場と利益を維持するため、米国に従い、中国との対決に加わり、ひいては自国労働者への締め付けを強化する以外に選択の余地がない。石破に続き首相になる資本主義政治家が誰であれ、この方向を追求するために、日本の支配階級は今後疑いもなく、より右派の権威主義的、抑圧的な政治路線へ転換する必要がある。高市が自民党総裁に選ばれたのも、そのことの現れだ。
問題は、米帝国主義の圧力の下で、右へと動いているのはブルジョアジーだけではない。増々多くの労働者が無気力になるか、あるいは右へ動いているのである。参議院選挙では、日本共産党は30年で最悪の結果を喫した!一方で、多くの若者と労働者が右翼ポピュリストの参政党を支持する動きとなっている。参政党への支持は、先の選挙では、12%以上の投票率に達した。なぜか?
根本的には単純である。過去数十年は労働者にとって最悪であり、若者は将来の見通しが全く立たない。そのため、現支配体制に対する正当な怒りがものすごく蓄積してきた。相次ぐ政権は労働者への攻撃を断行し、一方で日本を「世界平和の灯」と称して宣伝してきた。これこそ、平和を保証するのだから、現状維持が進歩的で盾突いてはならないと労働者に言うための都合の良いごまかしだった。第二次世界大戦が広島・長崎のように、労働者階級にいかに悲惨な破滅的状況をもたらしたかを考えると、これは強力なイデオロギー的破城槌だった。そのようにして、労働者を含む全ての人々を抑制し、現状維持を最良の選択肢として受け入れることを押し付けたのである。
これは極めて効果的だった。なぜなら労働組合やとりわけ日本共産党の労働運動指導者たちが、日本の資本主義秩序が第二次世界大戦の軍国主義から「教訓を得た」という物語をうのみにし、広めたからである。実際、過去数十年の相対的な安定と平和は、憲法9条の力や米国の善意によってではなく、米軍の疑いようのない絶対的な軍事力によって保証された。この傘の下でこそ、日本の帝国主義者たちが経済的利益を追求したのである。
日本共産党が日本の「平和憲法」を賛美している間、財閥独占資本は莫大な利益を貪り、日本の労働者階級は壊滅的な搾取に晒されてきた。近年、日本共産党は、こうした体制を最もよく体現したブルジョア政治家たちとの緊密な協調を追求してきた。例えば、野田党首率いる立憲民主党との協調である。野田は、2012年に当時首相として、社会保障の削減と消費税増税を実施したことで、今も多くの人に憎まれている。こうして今日の「共産」党は、労働者の生活を何も改善せず、むしろ労働者大衆に低賃金の生活を強いる体制の一部と見なされている。この見方は間違っていない。このようにして、日本共産党の指導者たちは、労働運動が労働者や貧困層のために戦う勢力として見なされないのを保証し、共産党に期待を寄せる労働者はますます少なくなっている。
現在、株式市場は史上最高値レベルの近くに推移しているにもかかわらず、労働者たちは、米国の関税措置とともに、政府が軍事増強のため巨額の金を調達する必要があるなかで、間違いなく何が訪れるかを知っている。つまり経済的苦難と危機である。社会民主党と日本共産党が支配体制の一部と見なされ、戦う勢力とは全く見なされていない。そして急進的社会主義者も基本的にその尻尾と見なされているため、若年労働者の多くは、耐え難い現状への真の反対勢力を求めて参政党に期待を寄せている。もちろん、参政党は日本の資本家政党として、そして反中国の軍事増強を支持する政党として、労働者に一層の貧困と欠乏をもたらすことに他ならない。労働者が自身の生活条件を防衛し改善するための具体的な前進の方法を示すことによってのみ、労働者運動が迫り来る攻撃に備え、参政党のさらなる台頭に反撃を加えることができるのである。
まずは状況を理解しなければならない。しかし左翼は完全に混乱し、現状を理解しない故に労働者の任務について混乱している。日本共産党やそれに続く革マル派といった社会主義グループは、米国、ロシア、中国という大国の「対立」について話題にする。これらの組織の観点からこうした国々は世界の「覇権」をめぐって互いに闘っている。これは完全に間違っている。つまりロシアはNATOの拡大を押し返そうとし、ロシア自身は強国である一方で、米国の世界支配への挑戦をもくろむことすら到底できない。中国は巨大な製造業や様々な経済・軍事能力を持っているが、支配するスターリニストの中国共産党は帝国主義との宥和以外何も求めず、米国の覇権に実際に挑戦しうるいかなる戦略も拒否している。いやちがう。中国との対立を推進し、国際的に現在の危機を根本的に引き起こし、必死に盟主の座を維持しようとしているのが沈みゆく米国の覇権者である。
多くの左翼の人は、「日本が第二次世界大戦前のようにファシズムや軍国主義に陥る危険性」について語っている。確かに、参政党とか高市の周辺にいる自民党右派がまくしたてる反動的な天皇賛美や進歩的と称される「大日本帝国」は、ひどく不快で不気味なものである。しかし、現状を唯物論の方法で理解することが極めて重要である。一方で、我々は1930年代のように、労働者の集会を破壊する街頭でのファシストや軍国主義のギャングに直面しているのではない。我々が直面しているのは、右翼ポピュリスト運動で、この運動は、多くの人に、反体制的な主張ゆえに支持されている。他方では、日本の資本家たちは、現在、米帝国主義者と衝突の方向にあるのではない。全く逆である。実際、自民党の右派や参政党の現在の方向は、トランプ政権と合致している。つまり、中国に対する好戦性に尽くす大規模な軍事化、日米軍事同盟の維持と同時に「平和」論議の踏みつぶし、女性を抑圧的な家庭に一層押し込めること、そして労働者の生活水準への攻撃の追求である。
労働者と社会主義者にとって差し迫っている任務は、今こそ組織化を始め、ますます必要となる防衛的な闘争に備えることである。東京だけで数十万人が右翼に投票し、その少なからぬ数が労働者である一方で、社会主義者はデモに千人集めるのに苦労している。「政府を打倒せよ」「人種差別を粉砕せよ」と叫びながらも、彼らは、今何が起こっているか、労働者に結び付くため何をすべきか、全く見当もつかない状態である。社会主義左翼は現実に目を向け、直面する労働運動の悲惨な状態に注意を向け、今こそ路線転換しなければならない!空虚で無力なスローガン叫びをやめなければならない。代わりに、我々は具体的な闘争の展望を提起する。前進する闘いの各段階において、全国労働組合組織の連合であれ日本共産党であれ、労働指導者の現路線に立ち向かうことが必要である。この指導者たちは、日本の資本家を支持し、我々を現在の難局に導いたのだ。
軍事化に反対して戦おう!
政府は、軍事費を大幅に増やし、2隻の軍艦を空母に改造し、沖縄をはじめとする地域に米軍と日本軍の基地を設置している。年金削減や増税を計画しているが、それは全て中国に対する軍備増強の名目で行われている。労働者の暮らしを防衛し、天皇と資本家の利益の名のもとで再び戦場に送り込まれることに反対するには、日米軍事同盟との戦いが出発点とならなければならない。
日本共産党の指導部は、巨額の軍事費に関して抗議し、政府に「軍事対軍事」ではなく「9条に基づく平和外交」を追求するよう促している。一方で、ウクライナ支援や中国の「挑発」と称するものへの非難といった帝国主義の大義を支持している。党指導部は、労働者にたいして、米軍によって保証された過去の比較的安定した「平和」な時代を模範として目を向けるよう説いている。実際には、正にこの秩序こそ、自身の衰退と現在の危機を生み出し、日米両国に軍事化を加速させているのだ。共産党の指導者は帝国主義の利益に沿って「平和」が達成できるという嘘を宣伝しているので、労働者へのあらゆる攻撃の根源である日米軍事同盟を実際全面的に容認している。だからこそ、立憲民主党との連携を維持するためにも、日本共産党は、最近の選挙運動において、日米同盟に対して何らの異議も唱えなかったのである。
軍事化に対する戦いを、例えば生活水準への攻撃に反対するなど、労働者の物質的利益のための闘争に結び付けることは重要である。だれに聞いても、それは労働者が気にかけている最優先のことである。これこそ、左翼に蔓延し(政府まで利用する!)プチブルジョアの道徳主義の説教に代わって、なされなければならない。この道徳主義の説教は労働者に責任を押し付け、例えば侵略戦争という歴史的悪行を「反省」すべき(日本共産党、社民党から立憲民主党や自民党の石破前首相までが言う)とか「血の債務を返済する」(中核派の言う「血債の思想」)と唱えているものだ。まず、労働者に罪悪感を抱かせるこの種の手法は、戦争犯罪の真の犯罪者であり責任勢力である天皇と日本の資本家階級への恩赦に他ならないのだ。さらに、生活破壊に抗し、生き延びるため闘っている労働者に向け、「罪」と称するものを説くリベラルな道徳こそ、労働者が正しくうんざりするものであり、多くの労働者を左翼から遠ざけ、右傾化を促す大きな役割を演じてきたのである。
中核派、革マル派から『かけはし』などの社会主義組織が、日米軍事同盟に反対するのは良いことである。しかし残念ながら、彼らは「戦争反対!」という平和主義にはまり込んでいて、労働者のために戦う具体的な前進の道筋を示していない。何十年もの間、日本共産党はこのイデオロギーを推進し、労働者に現状維持が「進歩的」だと説き、従って、多くの人に嫌われた現体制の一勢力として、その体制に反対しない勢力として、労働者の前に登場してきた。共産党の指導者は、この同じ平和主義を、立憲民主党のような「平和的」と称する資本主義勢力との同盟を固める接着剤として利用してきた。過去数十年間、「平和な日本」という話は、日本の資本家による国内及び地域全体における経済的略奪を覆い隠すのに尽くしてきたのだ。そして日本共産党は、今日もなお、田村委員長が参院選以来やってきたように、立憲民主党に「平和のために」協力するよう懇願し続けているのである。
労働者を現在の軍事化の根源である勢力(日本の資本家階級)の一翼に縛り付けることによって、共産党指導部は実際に、労働者自身の利益のための独立したいかなる行動も無力化し妨げてきた。なぜなら、そうした行動は彼らが同盟を結んでいる同じ資本家階級に反対せざるを得ないだろうからである。正にこの流れのなかで、全港湾の港湾労働組合指導部が昨年、米駆逐艦の沖縄寄港に反対した那覇港でのストライキを中止したとき、この指導部は雇用主との「平和」を求めるありふれた空虚な宣言でこれを正当化したのも偶然ではない。
日本共産党の指導者は、平和のための労働者の進歩的な渇望を、平和主義というイデオロギーへとそらしてきた。このイデオロギーは、いかなる階級闘争も組織せずに、労働者の手足を縛り、このようにして日米軍事同盟に対する真の闘争を阻んできたのである。従って、社会主義左翼が、たとえ非常に戦闘的な言葉で宣伝してさえ、この平和主義を推進するとき、これまで労働者を抑制し続けてきた正にそのイデオロギーを推進しているのだ。実際、「平和な日本」という皮肉なリベラル思想は、過去数十年間に生活が悪化した多くの者によって、何よりも象徴的だと見なされている。労働者や若者が最近参政党に相当傾いた一つの重要な理由は、この平和主義への反感と嫌悪だった。社会主義者が軍事化に反対し労働者に結び付くための戦いにおいて重要な出発点は、この平和主義からの決別でなければならない。
明らかに、中国を中心的に標的とする軍事化に反対する戦いでは、中国の労働者と農民のなかに、同盟者となりうる大量の人々がいる。しかしながら、社会主義左翼は大きな矛盾を抱える。彼らは帝国主義の侵略に反対したいが、帝国主義者に対して中国の側に立つのを拒否している。強力な中国プロレタリアートとの強固な同盟を築く唯一の道は、1949年の中国革命から生まれた中国国家を断固として防衛することである。この偉大な革命は帝国主義への従属と資本家や地主の支配を終わらせた。これは、米国や日本の帝国主義者に絶え間なく妥協する現在の抑圧的な中国共産党政府を支持することによってではなく、代わりに自らの手で社会を支配し、腐敗した官僚どもを追い出す中国の労働者と共に戦うことによって、成し遂げなければならない。
労働組合を再建しよう!
生活水準を防衛する鍵は、ボスや政府の圧力に立ち向かえる強力な労働組合である。確かに我々は、抑圧的な消費税の廃止を含めて、急騰するインフレに直面する全労働者の賃金を防衛し改善する必要がある。しかしはっきりさせなければならない。つまり資本主義の利益との実際の対決のみが、このいずれにとっても一歩踏み出すのを可能にするのである。これこそまさに、連合、全労連、全労協そして独立諸労組の指導部が数十年間回避しようとしてきたことである。全体として、こうした組合指導部は、産業の空洞化や解雇に対して、そして現在では大規模な軍事化に対する戦いを組織することを拒絶してきたのだ。なぜなら彼らは根本的に、日本の資本と米国との同盟を支持しているからである。
これこそ組合を一貫して弱体化させ、多くの労働者を遠ざけてきたのである。多くの労働者はもはや労働諸組織に期待せず、組合を脱退しさえしている。その結果、現在の労働組合組織率は約15%であり、戦後80年近くで最低水準である。労働運動は数十年もの間衰退し続けてきた。近年における象徴的な一例は、以前強力だったJR東労組という鉄道労働者の組合である。この組合は容赦ない経営者の攻撃・圧力に直面し、敗北に敗北を重ね、数千もの労働者が組合を脱退し、今やおしなべて無力化に至っている。
この流れを転換させるために、我々は、労働組合の根本的に異なった展望に向けて闘わなければならない。労働者階級を極めて弱体化させている一つの要因は、労働者や組合運動が支持政党によって分断されていることである。労働組合の闘士や社会主義者は、連合、全労連、全労協の間の分断を克服し、各産業で全労働者を団結させる産業別労働組合を打ち固め構築する展望を推進する道を見い出さねばならない。具体的な一歩として、日産自動車のボスたちが閉鎖を企てる歴史ある追浜工場での解雇に反対して、連合と全労連の労働者が一致団結して戦うことにあるだろう。これには、数十年にわたり労働者に対する次から次への攻撃を許容してきた現労働組合指導部との対決が必要である。こうした指導部こそ、それぞれボスたちとの親密で気が楽な関係のなかにいる。
しかしながら、現状では、社会主義左翼がこうした展望を提示できず、間違った答えの間で分裂しているのである。一方では、革マル派などのように、戦闘性の欠如について正しく不満を表し、組合による一層の闘争を呼びかけているグループが存在する。しかし、現在の親資本主義の指導部に対する具体的な政治闘争の展望を抜きにして、そしてまた指導部がなぜこうした闘争を拒むのかを暴露するのを抜きにしては、結果は現指導部のより戦闘バージョンに希望を託すことになるだけである。これは前進の道ではない。他方では、中核派のような社会主義者が怒って「連合を打倒」しようと叫び、取って代わる組合を構築しようとする。この展望もまた行き止まりである。なぜなら、それは労働運動の闘士を労働者大衆から孤立させ、プロレタリアートの核となる構成部分を連合指導部の管理下に置いたままにするからである。
必要なのは、労働組合内部に現指導部に反対する反帝国主義潮流を今打ち立て始めることである。正に今の真実は、社会主義左翼が労働者階級から極めて孤立していることである。真の影響力を及ぼすには、我々はこの状況を克服する必要がある。社会主義活動家は同僚の労働者と結びついて寄り添う忍耐強い活動から始めることが必要である。そしてあらゆる段階で、どのように労働者が資本家と闘う必要があるかを示さねばならない。それはすなわち、現在の親帝国主義の組合指導部との戦いであり、労組の新たな社会主義指導部に向けた戦いを意味する。
国家弾圧と闘おう!
来たるべき全労働者への攻撃を準備するなかで、政府は、過去1~2年にわたり、あらゆる戦線で社会主義者に対してさらなる国家弾圧を雪崩のように振り下ろした。例えば、中核派や全学連のメンバーの繰り返される逮捕、革マル派・中核派・解放派の事務所への家宅捜索などである。自己防衛のための緊急の一歩は、あらゆる有害なセクト主義的分裂を克服し、国家弾圧に対して社会主義左翼全体が一致団結・結束して強力な統一戦線に基づく防衛運動を組織することである。このことはまた、こうした防衛運動において、労働者をより広範に動員することに向けた一歩ともなり得るのである。
ここ数週間から数ヶ月にわたり、参政党などが撒き散らした人種差別主義の汚物に駆り立てられ、自民党主導の政府は、外国籍の労働者を強制送還や攻撃で脅している。こうした攻撃に反対する戦いは急務であるが、この任務を労働者の物質的利益と結び付ける必要がある。社会主義者は、外国籍の労働者へのこうした攻撃が、いかに被抑圧者たちを分裂させ弱体化させているかを示し、全労働者の生活水準を低下させる下地を作っているかを示さねばならない。このようにしてのみ、我々は、例えば強制送還を阻止する労働者行動とか外国籍の人々を含んだ、日本に住む全員に完全な市民権をといった具体的な要求が、いかに実際日本の労働者の物質的利益にかなうかを動機付けすることができるのである。いかなるこうした闘いも、資本家や政府に対し労働者を結束させ、分裂を減らし、こうして来るべき攻撃に対して抵抗力を強化するだろう。
それとは対照的に、日本共産党に率いられて、社会主義左翼全体は、残念ながら労働者の前で、彼らの利益のための闘士としてではなく、むしろヒステリックで思い上がった道徳主義者として現れている。左翼は「排外主義を許すな!」といった空虚なスローガンを叫ぶ。それは労働者にとって、もっともな理由で憎んでいるリベラルな道徳主義の説教として映るのである。労働者や移民労働者などのマイノリティの利益を具体的に共に前進させる展望を持たないなかで、こうした道徳主義の説教は逆効果であり、排外主義・人種差別主義的デマの影響を弱めるのに何の役にも立たない。
今、参政党は、自民党などの他の政治家と共に 「スパイ防止法」制定を進めようとしている。これは、日本共産党、左翼全体、朝鮮総連などの朝鮮人諸組織、そして同様に公務員労働者に対しても直接的な脅威である。共産党の指導部はそれに反対する一方で、労働組合内の支持基盤を動員することを拒否している。この脅威に対する抗議運動は、左翼と労働者、朝鮮人マイノリティ、部落民などを団結させ、隊列を固めるため、また今後ますます必要となる連帯を築き始めるために、結集点となり得る。日本共産党の支持基盤、とりわけ全労連にある基盤に共に階級闘争を闘うために働きかける必要がある。これには、労働者階級にある自らの支持基盤を動員するのを拒否する日本共産党指導部と闘うことが必要である。これを通じて社会主義者が労働者の利益のための真剣な闘士であることを示し、全労働者の利益のために弾圧に対し戦いを前進させうるだろう。それはまた、日本共産党指導者の路線に対する政治的オルタナティブを構築し始めるだろう。
すべての労働者の利益のために闘う者や社会主義者が真の転換をするならば、迫り来る攻撃に直面しながら増々弱体化していく、この悪循環に対して対策を講じ始めることができる。今こそその時である。