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  1. パレスチナ: 10・7以後 | 闘いの現況と展望とは?

    Spartacist (日本語で付録) (ja)| 2025年8月5日
    ...ヒズボラとイランにとってもう一つの深刻な打撃は、シリアで憎まれたアサド独裁政権の崩壊である。この政権はかつて武器の補給ルートをヒズボラとイランに保証していた(「反帝国主義だけがシリアの諸民族を団結させることができる」『Workers Hammer』 No.255、2025年冬参照)。新シリア政府は最初から「イラン・プロジェクト」に反対だと明確にしてきた。そして、イスラエルがシリア南部に侵攻し、シリアの最高地点を占拠した後でも、西側の帝国主義に訴えかけてきた。 とは言え、新政権の態度は変わることがあり得る。イスラエルは、ダマスカス南部地域の「非武装化」を望むと公言する声明を何回か発表しており、ダマスカスのドゥルーズ派マイノリティを防衛するために侵攻する用意があると主張している。こうした脅威が増大するなかで、新政権はある種の対応に迫られる圧力に直面するかもしれない。とはいえ、このことは、新国家内の分裂を考えると、非常に弱いものになるだろう。4月初旬、政権はイスラエルの駐留を非難する声明を発表し、ダルアー県の地元民兵(ダマスカスで政権を握ったシャーム解放機構民兵の一部ではない)は南部でイスラエル占領軍と交戦した。イスラエルがどこまで拡大に向けて進むかは今のところ不明である。いずれにせよ、地元のシリア民兵は深刻な脅威をもたらしてはいない。 イスラエルはシリアで宗派主義をあおりたてていて、アサド体制の支柱だったアラウィー派、キリスト教徒、そしてドゥルーズ派といったマイノリティに働きかけようとしている。最近沿岸部で起こったアラウィー派の大量殺戮は、新政権下でのシリア統一のいかなる見通しを不可能にしている。アサドが失脚するまでは、10・7は、イスラエルの侵略に対して、この地域のスンニ派とシーア派を結束させるように見えた。アサドの失脚はこうした見せかけを取り払ってしまった。つまり、レバノンではスンニ派の宗派主義の政治が再び表面化し、ハマスと「抵抗の枢軸」はシリアに関して分裂し、シリア政権はヒズボラと「抵抗の枢軸」と激しく衝突している。 フーシ派は、「抵抗の枢軸」の中で、その権威が強化されてきた唯一の勢力である。米国、ブリテン、イスラエルによる絶え間ない爆撃にもかかわらず、彼らは紅海での貿易を頻繁に妨害し、イスラエルを直接攻撃することさえできた。トランプはさらに彼らを爆撃して屈服させようとしているなかで、これはバイデンの失敗したキャンペーンよりうまくいく兆候はほとんどない。にもかかわらず、フーシ派は今やいっそう孤立している。イランによる米国との交渉は、彼らにとって良い兆しではない。 イスラエル イスラエルの国内情勢は複雑である。支配階級は独立した勢力ではなく、1956年のスエズ危機以来、とりわけ1967年の第三次中東戦争以来、この階級はアメリカ帝国主義と結び付いてきた。イスラエルにおいて決定的なことは、米国から吹いてくる風である。イスラエルの第一の重要性は、その天然資源や産業では決してなく、帝国主義による中東の分割と搾取を保証するのに仕える前哨基地として役立ってきたことである。シオニズムはこの役割を正当化する上部構造を与えているのだ。 何年もの間、イスラエルの支配階級の中で派閥争いが激化してきた。一方には軍・諜報機関や大手テクノロジー企業と結びついたリベラル派のシオニストがおり、他方には入植者団体から支援を受け、ネタニヤフ率いる右派シオニストが対立している。10・7は、こうした派閥の競合する大規模なデモを、一時的に中断させた。しかし、戦争の負担、悪化する経済危機、トランプの再選、そしてネタニヤフによる司法・治安機関を全面的に見直すための新たな動きは、分断を再び明るみに出した。人質解放交渉を支持する定期的な抗議行動や大量虐殺の継続を支持する極右の準定期的なデモは、そのひとつの現れである。ネタニヤフによる安全保障局長官ロネン・バーの解任に対する最近の抗議行動も、その別の現れである。 ネタニヤフは、闇の国家に対する民主主義の擁護者というイメージを打ち出している。そしてリベラル・シオニストとアシュケナジム(ヨーロッパ系ユダヤ人)に依然として支配されている司法・保安機関と闘ってきた。ネタニヤフは、ミズラヒム(中東と北アフリカ系ユダヤ人)の不満をうまく利用してきた。彼らは、イスラエル社会の約半数を占めている。彼らにとって、リベラル・シオニズムとアシュケナージの支配は、住宅や雇用において軽蔑と差別を意味した。(このことは、なぜ多くのミズラヒムがヨルダン川西岸で入植者となったかを、説明するのに役立つ。)イスラエル人全体が、10・7以降、大量殺戮の熱狂的な支持に駆り立てられる一方で、リベラル支配者層への怒りは、パレスチナ「問題」への唯一の解決が民族浄化という「最終的解決」だと、政府が主張するのを容易にした。 リベラル・シオニストは常にパレスチナ人の民族浄化と「エレツ・イスラエル」という聖地の占領の目標を支持してきた。しかし民主主義の隠れ蓑(少なくともグリーンライン内のユダヤ人にたいしては)を使ってそうしようとしてきた。しかし、10・7以降、「中東唯一の民主主義国家」としてのイスラエルの茶番は、国際的に完全に信用をなくした。ネタニヤフ派は、ボナパルティスト的な武装した神政国家を強化することに向けて進むなかで、ユダヤ人に対してさえ、もはやこの茶番を続ける必要はないと確信している。土地の強奪、民族浄化、そして「抵抗の枢軸」への打撃を通して、ネタニヤフは、イスラエル政治の再編に成功しており、リベラル・シオニズムの政治空間は滅び去りつつある。したがって、たとえリベラルが政権に復帰したとしても、それは変化した政治状況のなかになるだろう。ネタニヤフの計略が、ただ違った装いで追求されるだろう。 イスラエル労働総同盟の労働組合官僚は、依然としてイスラエルのリベラルブルジョアジーの陣営に完全にとどまっており、その指導者たちは大量虐殺に肩入れしている。戦争初期に、この労働総同盟の指導者アルノン・バル-ダビドは、組合を代表して、ガザに投下される爆弾に誇らしげに署名した。ここ数年の間、イスラエル労働総同盟がゼネストに入るたびに、支配階級の一部の支援を得てきた。とは言え、このストライキ運動は矛盾している。すなわち、労働者の意識は、依然としてリベラル・シオニストで、排外主義であり、パレスチナ解放に敵対している一方で、それは戦争の遂行に対する怒りも反映している。共産主義者は、こうしたストライキに介入して、次のことを示さなければならない。つまり: 人質を解放し、政府を打倒し、生活水準を改善する闘争を前進させるために、民族排外主義が完全な行き詰まりだと、そしてこの闘争における労働者の最大の同盟者は、米帝国主義とシオニストの支配者と戦っているパレスチナとアラブの大衆であること、と。...